アリ飼いのためのアリ知識ノート

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2.4.タ行 

体表炭化水素 【たいひょうたんかすいそ】 
体の表面を覆う体表ワックス【たいひょうwax】を構成する成分。複数の炭化水素の混合物で、その組成は種やコロニー【colony】ごとに異なる。アリは触角で相手の体表ワックスに触れ、身内か敵かを見分ける。便宜的に「コロニーの匂い」と表現することもある。
同種では含まれる炭化水素の種類は同じだが、その割合が異なる。ひとつのコロニーで特定の割合になるのは、女王の出す集合フェロモンでアリたちが集まり、さらに互いにグルーミング【grooming】しあうことにより各々の体表の炭化水素が混ぜ合わされて均一化されるためではないかという。(この記事より)
体表炭化水素は頭と胸にある腺から分泌される。そのため、寄生【きせい】種など他種・他コロニーに侵入を試みるものは、相手の頭部を撫でまわし、自分の体に塗りつける行動がよく観察される。
体表ワックス 【たいひょうwax】 
体の表面から水分が蒸発するのを防いでいる不揮発性の物質。複数の炭化水素からなる。 →体表炭化水素 【たいひょうたんかすいそ】
多型 【たけい】 
(主として)働きアリ【はたらきあり】の大きさにバリエーションがあること。大きさが連続的に異なるもの(つまり、小さい個体と大きい個体の間に中間の大きさの個体がいるもの)や、顕著に2つの大きさに分かれるもの(2型)などがある。多型になるかどうかは種による。対義語は単型【たんけい】
大きいものを大型ワーカー(メジャーワーカー)、小さいものを小型ワーカー(マイナーワーカー)と呼ぶ。
また、大型ワーカーのうち、頭部が大きく、小型のものと明らかに形の区別がつくものを特に兵アリと呼ぶ。その場合、小型ワーカーは(狭義の)働きアリと呼ばれる。→カースト 【caste】
竹割り 【たけわり】 
アリの採取方法のひとつ。竹の節の中に巣を作る樹上性の種のアリをコロニーごと採取することができる。篠竹など、細いものにもからも出る。
枝折り【えだおり】と同じく、生きた竹からは、まず出ない。間引かれたりして切って積んであるものが狙い目。
ナタなどの工具が便利だが、これも女王アリをまっぷたつにする可能性があるので注意。
節ごとに別種のコロニーが入っていることもあり、面白い。
越冬期間中は地中営巣性の種は深く潜るので、冬季の採集には枝折りとともに最適。
多雌 【たし】 
1つのコロニーに複数の雌(女王)がいること。多雌になるかどうかは種によって異なり、また地域性もあるといわれる。対義語は単雌【たんし】
多雌創設 【たしそうせつ】 
複数の雌(女王)でコロニーを創設すること。→コロニー創設 【colonyそうせつ】
複数の雌が協力することで創設時のリスクを軽減できる。
種によっては女王のあいだで次第に役割分担が行われ、産卵する女王と働きアリのようなふるまいをする女王に分かれることもある。
脱翅 【だっし】 
雌アリ(女王アリ)が羽を落とすこと。→コロニー創設 【colonyそうせつ】
雄は結婚飛行【けっこんひこう】後、すぐに死ぬ(地下生活に戻らない)ので脱翅しない。
脱翅雌 【だっしめす・だっしし】 
脱翅【だっし】した(羽を落とした)雌アリ(女王アリ)。一般に、雌アリは交尾後に脱翅するので、捕獲した雌が交尾をしているかどうかの目安となるが、まれに自己棄翅【じこきし】(未交尾で脱翅すること)するものもあるので、注意が必要。
卵 【たまご】 
Eと略すことも(<egg)。→ステージ 【stage】
卵の表面は粘着質で、卵どうしや幼虫・蛹などにくっつくので、まとめて運搬する際に都合がよい。
女王や働きアリの腹などにくっついていることもある。
一般にツヤツヤした白色であるが、オレンジ色がかっていることもある。同一個体(女王)でも白とオレンジ色の両方を産むことがある。オレンジ色になるのは栄養卵のため、初卵のため、などの説がある。
タルカムパウダー 【talcum powder】 
ベビーパウダー 【baby powder】
タルク 【talc】 
ベビーパウダー 【baby powder】
炭化水素 【たんかすいそ】 
水素と炭素だけで構成される化合物。 →体表炭化水素 【たいひょうたんかすいそ】
単型 【たんけい】 
働きアリの大きさにバリエーションがないこと。対義語は多型【たけい】
単雌 【たんし】 
1つのコロニーに雌(女王)が1匹だけいること。対義語は多雌【たし】
タンデムランニング 【tandem running】 
大型のアリが仲間を餌のある場所などに誘導する方法。
クロオオアリなどの大型のアリは道しるべフェロモン(→フェロモン【pheromone】)を通り道につけるのではなく、餌を見つけた働きアリが触角で仲間の頭をたたくようにしながら分泌物を放出し、興奮状態になった仲間を後ろに従えてエサ場へ導く。――風人氏による
(tandem=縦に並ぶ)
単独越冬 【たんどくえっとう】 
結婚飛行【けっこんひこう】を終えた雌アリが産卵せず1匹で(コロニーを作らずに)行う越冬【えっとう】
ディープキス 【deep kiss】 
栄養交換【えいようこうかん】している姿を戯れに呼ぶ語。学術用語にあらず。
天花粉 【てんかふん】 
ベビーパウダー 【baby powder】
働蟻 【どうぎ】 
働きアリ 【はたらきあり】
同定 【どうてい】 
生物の分類学上の所属・名称を明らかにすること。
つまり、目の前のアリが何という種なのかを判明させること。●アリの種類 1.調べ方(1.1.と1.2.)でやる作業がこれ。
導入 【どうにゅう】 
飼育者が他のコロニーから奪った個体を飼育コロニーに入れること。
導入は蛹以下のステージ【stage】の個体で行うのが一般的。
一般に他のコロニーで羽化【うか】した成虫【せいちゅう】にはそのコロニーの匂い(→体表炭化水素【たいひょうたんかすいそ】)がついているので、敵と見なされ攻撃されることが多いため。しかし、成虫でもうまくいくこともある。
種が違っていても受け入れられることがままある。近縁の種のほうが成功しやすい。無事羽化すると、違う種の混ざったコロニーとなる。
受け入れられなかったものは食べられるか、ゴミとして扱われる。
導入は、導入先コロニーにメイド【maid】が必要になったときのほか、導入元コロニーの女王が死んでしまった場合に遺された子供たちの救済策としてもしばしば行われる。
導入ワーカー 【どうにゅうworker】 
(多くは蛹以下のときに)導入【どうにゅう】された働きアリ【はたらきあり】のこと。
冬眠 【とうみん】 
動物が生活活動を中止した状態で冬を過ごすこと。ハリネズミ・リス・ヤマネなど小型の哺乳類にみられるが、広義には昆虫・カエル・ヘビなど陸生の変温動物の越冬も含む。多くの種は冬眠中に定期的にめざめて、排泄・摂食を行う。クマ・スカンクの冬ごもりは体温の降下も小さく、睡眠状態に近い。――@nifty辞書より全文引用
慣例としてアリの場合は越冬【えっとう】と呼ぶ。
奴隷 【どれい】 
奴隷狩り【どれいがり】を行う種のコロニーで働く、生け捕られた種の個体。
奴隷狩り 【どれいがり】 
サムライアリなどに見られる行動で、特定の他種(サムライアリの場合はヤマアリ属、特にクロヤマアリが多い)のコロニーを集団で襲い,その蛹もしくはごく終令の幼虫を奪って持ち帰る。羽化した働きアリは連れてこられたコロニーの一員として働く。
寄生【きせい】の一形態と考えられる。
サムライアリの働きアリは、この奴隷狩りだけが唯一の仕事で、ほかの作業はできない。大アゴが特殊な形(鎌型)に発達しており、奴隷【どれい】の口移しがなければ、目の前に餌があっても食べることすらできない。
奪ってきた蛹や幼虫も、自分たちの卵・幼虫・蛹も、すべて奴隷が世話をする。
そのため、自コロニー内の奴隷が少なくなると再び奴隷種のコロニーを襲うという周期的な奴隷狩りを行う。
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